「じゃぁ、もう一件の方にする?」
「うーん……。トレッキングの方は、着陸したヘリの写真が投稿されてるしなぁ」
 悩む陸くん。
「じゃぁ、こうすれば」私達の逡巡を見かねて、アッキーが助け船をだす。
「トレッキングの方は場所が近いから、こっちから先に片付ける。それを終えたら、
倒木除去の方に向かう。倒木の方は、俺らでなくても対応が出来そうだし、大至急の
案件でもないだろうから」
 アッキーの発案で、トレッキング事故、倒木除去、の順で対応する事に決まった。

 早速、地図で場所を確かめ、いざ出発。
 けれど、私達を待ち受けていたのは、救助とは全く掛け離れたものだった。

 *****

 10分ほど飛ぶと目的地が近づいてきた。三方を山に囲まれた窪地だ。
 あちらに三軒、こちらに二軒といった具合に、集落が点在している。
 2時の方向に学校らしきものが見えてきた。高度を下げて接近する。
 校庭に、大きな何かがある。故障したヘリだろうか。
 更に高度を下げる。
 校庭にあるのは、飛行機だった。主翼両端に、巨大なローターが付いている。
「あれは、ヘリじゃないね」と陸くん。
「あれは、垂直に離着陸出来るヘリプレーンだ。あんなの初めて見たよ」
 その飛行機を目標に降下する。
 校庭で私達に手を振る男性の姿が見えた。
 その人の側に着地。
「怪我をされた方は?」
「こちらです」
 男性が先に立って、校舎の方に走る。陸くんと私がそれに続く。