「此方の善意から出た行動も、それが普通になると、受けとる方は『当然の権利』と
思うようになるんだよな」
　陸くんが溜め息をつく。
「嘘の救助要請と違って、この人達に悪意は無いんだろうけど。無視するしかない。
真面目に取り合っていたら、何もできなくなる」
　私も心苦しいけれど、この件に関しては陸くんの言に従う他はなさそうだ。

　何はともあれ、ソラシドレスキューの活動も、円滑に運ぶようになってきた。
　超能力を人の役に立てたい。
　私の念願が、漸く形になってきた。そう、思っていた。

　けれど、私達の知らない処で、思いもよらぬ策略が進められていたのである。