「天野さん。どうしちゃったの?」
 陸くんが私の目を覗き込む。
 その目を直視する事が出来ず、私は床に視線を落とす。
「……あの……」と言ったが、言葉が続かない。

「心配しないでよ、天野さん。僕、ソラシドレスキューに戻るよ」
 えっ?
 今、なんて!?
「分からない? 僕はソラシドレスキューに戻る。てか、今日はAI部に行ったんだ
よ。そしたら、天野さんは、こっちに行ってるって言われて……わっ! わっ!」
 ソラシドレスキューに戻る。その言葉に感極まり、私は思わず陸くんに抱きついて
いた。
 そのまま暫く、陸くんの胸で感動の涙を流す。
 今度は、陸くんの方が固まったままだ。
 私が陸くんに抱き着いていたのは、時間にして数十秒ほどだったろうか。でも、私
には何十分にも感じられた。
 ハタと我に返って、体を離す。
 火が付いたように顔が赤くなる。その赤が首から胸に伝染し、お風呂上がりの様に
体が火照る。
「ごめんなさい。あんまり嬉しくて。でも、どうして急に?」
「昨日から今日にかけて、いろいろと状況が変わったんだ」