そこには「英雄気取りはチョロイ奴」とタイトルされたブログが表示されていた。
 正義の味方ズラしたソラシドなんとかがムカつくので、嵌めてやった。
 という文章から始まり、私達を騙した顛末が事細かに書き連ねてある。
 私達を間近で撮影した動画もアップされている。
 私達が飛び去って行く動画には『尻尾を巻いて逃げるタコ』の表題が付いていた。
 それを見て、私の涙は引っ込んだ。
 泣いていてはいけない。こんな人に負けてはいけない。そんな気持ちが湧いた。
「私は……、負けない」
 その思いが言葉となって口をついてでる。
「そうだよ。こんな人達に負けないように頑張ろう。私達」シーちゃんが同調する。
「そうだ。そうだ。こんな奴ら、無視すりゃ良いんだ。俺らを理解してくれてる人は
大勢いる。その人達のためにも今まで以上に頑張らないと」
 アッキーが力強い賛同の言葉を打ち上げる。

 一時の悲しみが、次なる一歩を踏み出す勇気に変わった。
 私とシーちゃん、アッキーが右手を三段に重ねて結束を誓う。
 当然、その輪に参加するものと思って、陸くんの方を見やる。
 しかし、私がそこに見たのは、陸くんの冷めた瞳だった。
「陸くん」と声をかける。

 ふう。と大きな息を吐き出し、陸くんは思いもよらぬ台詞を私達に投げつけた。
「もう、止めにしないか。こんな事」