俺は追いかけたが、彼女はエレベーターに1人で乗り、そのまま閉めてしまった。



「大桃!」



俺は、ボタンの上にある画面を確認した。エレベーターは、3階に行っている。
大桃は3階にいる、ということか。


1階に降りてきたエレベーターに乗り、俺は3階のボタンを押した。
が、大桃が3階のどこにいるか分からない。


仕方がない。
3階にいる人達であれば、大桃の居場所が分かるだろう。



「すいません」



3階に着いて、俺はエレベーターの1番手前の家の中にいた中年の女性に聞いた。



「あの、大桃という人をご存知でしょうか?」



俺が聞くと、女性は優しい笑顔になって、



「もしかして、琴音ちゃんのことかしら?」



と聞き返した。



「はい、どこにいるか、分かりますでしょうか?」



「琴音ちゃんは、隣よ」



女性は、笑顔のまま右を指差した。



「ありがとうございます」



俺は頭を下げた後、隣の家へと行った。