結局、雨は予報より早くに降り出し、私だけがびしょ濡れになった。

「おかしいなぁ。お母さん晴れ女なのに」

帰宅してからそう笑い話にするけれど、晴人は済まなさそうに肩を落としていた。

「ごめんね〜、晴人。お腹空いたでしょう? すぐに用意するからね?」

簡単に着替えを済ませ、私はいそいそとキッチンへ向かった。

 *

翌日の夕方。最寄り駅に着いた時点でまた雨が降っていた。

今朝の天気予報に従って、今日は傘を持って出勤したのだが、帰る頃になって自分の傘が無い事に気が付いた。

ーーもしかして、盗られた?

そう思うものの、会社を出た時にはまだ曇り空で、雨の気配は無かった。

駅まで走って電車に乗り、三駅先の最寄り駅に着いた頃、空はガラリと風景を変えていた。