「いやあああっ！！！！」

お母さんの叫び声と共に私は尻餅をついた。
何が起きたか一瞬では分からなかったが、頬がジンジンと痛むのを感じ、私はお母さんに平手打ちされたのだと悟った。

「…え……」

なぜ殴られたのか分からないまま私はお母さんをぼーっと見つめていた。
すると、お母さんはいきなり私に掴みかかってきて今まで見たことないような鋭い目つきで私を見た。

「…あんた、お兄ちゃんのことどこまで知ってるの？学校の子にお兄ちゃんの何喋ったの？！余計な事喋ったんでしょう？！正直に言いなさい！全部私に話すのよ！！」

テストで悪い点を取った時や小さい頃にイタズラをした時にも、私を叱る時お母さんはこんな表情でこんな怒鳴り方をしたことは無かった。
私があまりのショックで固まっていると、お父さんが私からお母さんを引き離した。

「やめないか！サユは何も知らないに決まっているだろう？…なぜこうなったのかは分からないが、サユの所為では絶対無い！…とにかく今はこれからの事を考えよう。」

そう言って、震えながら泣き噦るお母さんを説得しながら、お父さんはお母さんを別の部屋へ連れて行った。