家に帰って改めてパソコンを開いてみる。
【小さなパン屋minami】と入力して検索をすると、飲食店の情報サイトの中に隠れるようにして載っていた。
公式サイトも何もない。
分かる情報といえば営業時間と住所、電話番号くらいだ。
地図のアイコンをクリックすると、周辺マップが別ウィンドウで開いた。

「ここか…。」

藤原の言うとおり、確かに職場の近くで徒歩圏内だった。
昼休みに買いに行っても十分時間に余裕がある。

雄大は先程食べたパンの味を思い出していた。
何の変哲もない、贅沢に食材が使われていたわけでもないシンプルなパン。
なのに人を惹き付ける魅力的なパン。
今時ホームページも持たず、ほとんど情報が出てこない店。
もしかして昔気質な職人が焼いているのだろうか。

そんなことをぼんやりと考えながら、雄大はパソコンを閉じた。