「琴葉が俺を煽るからだよ。 」

「雄くん~。」

そんなつもりではない琴葉は潤んだ瞳で雄大に抗議するも、それは逆効果に終わる。

「ほら、そうやって俺を煽る。」

「ち、ちがっ。」

じたばたと暴れてみるが、雄大はそんな琴葉を優しく抱きしめた。

「冗談だよ。琴葉が俺との将来をそうやって考えてくれていることが嬉しくてたまらないだけだよ。」

とたんに、琴葉の頬は更に赤く染まる。
思えば、将来子供ができたらなんて言い出したのは琴葉なのだ。
今更ながら自分の大胆さに気付き、頭を抱えたくなった。

「そんなに照れること?」

「だ、だって。」

「俺は嬉しいのになぁ。」

雄大はクスクス笑うと、琴葉へ殊更優しいキスを落とした。
甘く優しいキスは離れがたくて、琴葉は思わず雄大の唇を目で追ってしまう。

「琴葉愛してるよ。幸せになろうな。」

囁きかける雄大の首へ琴葉は腕を回した。
ぐいっと自分の方へ引き寄せると、耳元で言う。

「私も、愛してる。」

恥ずかしくて真っ赤になってしまった顔を見られたくなくて、琴葉はそのままぎゅうっと雄大へしがみつく。
そんな気持ちを汲み取って、雄大は愛しそうに頭を撫でた。


二人で築いていく未来はきっと明るい。
幸せに満ちた空気は、途切れることがなかった。

そう、きっとこれから先もずっと。


【第二部 END】