『会社に迎えに行ったら
もう退社してたみたいだし
連絡しても繋がんねぇし
アパートにもいねぇんだよ!』
「他に行きそうな思い当たるとこはないの!?」
『わっかんね…
どうしっか…雨も降ってんのに
アイツどこ行ったんだよッ』
こんな焦った様子の煌月
初めてだ…
よっぽど心配してんだな。
「わかった!
アタシも近くを捜すから!」
『悪いな。
見つけたら連絡頼むッ』
そう言って一方的に切られてしまった。
ってアタシも言ってみたモノの
彼女の行きそうな場所も知らないし
こんな広いところから見つけ出すなんて
かなりハードっしょ。
「家に帰ってるって事はない…?」
あり得る話だけど
そもそもアタシ
彼女の実家を知らないや。
いや、そりゃそうか。
素性をよく知らんしな。
それに…
「泣いてたモンなぁ…」
どうして泣いてたのか
理由を知っているのは煌月だけだし
アタシはそれに踏み込めない事だけど…
変な事を考えないといいな…。
イヤな予感を消し去りながら
ひとまず近くを捜し始めた。