「彼女を大事にしてやんないと~」

「だから俺じゃねぇよ。
 イロイロあるんだよ、アイツには」

「イロイロ?」

「…あぁ」


アレ?
この感じ…前にもあったな。
確か…
『イヤな割に拒絶しないじゃん』って言った時だ。
闇持ちタイプなんだっけ。


「人の事だから
 あんまり深くは聞かないけどさー。
 ちゃんと支えてあげないとじゃん?」

「…そうだな」


あら、意外と素直。
口では冷たく言ってても
見捨てず心配するところが
コイツのいいとこなんだよね。


「俺、そろそろ行くわ」

「ん?早くない?」


腕時計で時間を確認すると
まだ21:00前。
こんなに早く切り上げるって事は…


「あー…早乙女さん?」


彼女が理由としか考えられん。


「…残業でそろそろ終わる時間だから」

「迎えに行くの?」

「まぁ、そんなとこ」


なんとも
やっさし~男だねー。
泣いてたから独りにさせるのが心配なんだろね。


「じゃぁアタシも帰ろっと」

「夜も遅いから
 気を付けて帰れよ」

「平気平気
 ありがとね」


先に出る煌月から自分の支払い分を受け取り
会計を済ませて外に出ると――