「そうだったんだ…
 知らなかった…」


そうでしょうね。
だって言ってないですもん。


「けどどうしてそんな大事な事を言わなかった?
 今回の企画でかなり無理させてしまったし
 知っていたら――」


「だから言わなかったんです」


陽向さんが言わんとする事がわかってるから
先に口を挟ませてもらいました。


「この企画
 アタシにとっても挑戦なの。
 だからその事を話して
同情とか無理だとか決めつけられて
 降ろされるのがイヤだったんです」

「それは…」


ほら。
目線を外した時点で
しようとしてたじゃん。

嘘が下手か。


「今回の企画はすべて終わったんだから
 全部解決って事で忘れてください。
 はい、では帰ります。
 お疲れ様でした」


誰の返事も聞かず
アタシは勝手に終わらせ
彼等2人を放置したまま帰宅。

えぇ、本当に帰りましたが?

これ以上ややこしい事になる前に
早めの撤収は必要かと。


だけど結局のところ
陽向さんとの話は中途半端に終わったな。
アタシ達は終わった仲なのに
どうしてまだ解決してないんだ