「あの頃の俺はまだ若かったから
 考えが甘かった。
 副編集長としても半人前のくせに
海外でやっていける、セツナの事も幸せに出来るって
根拠のない自信だけが勝ってた。
全部中途半端にしたまま渡米しようとした」

「だけど無理だって気付いた。
 だから“別れ”を選んだんだ…」


今の説明で
なんとなく理由がわかった。

出国の前日に会った時
様子が変だなとは思った。

何かに迷っているような
考えているような、暗い表情。
自分が望んでいた夢を実現した人が
する顔じゃない。

そしてそんな顔をさせてしまった元凶が
まさかアタシだったとは…。


「空港に見送りに来てくれたお前に
 俺は…」

「『これから先の未来
お前を幸せに出来る自信がない。
いつ戻って来れるかもわからないし
俺について来いとも
待っていてほしいとも言えない。
お前にはお前の人生も将来もある。
だから今日で
俺達の関係を終わりにしよう』」


そう言って勝手に別れを選んで
アタシの元から離れていった――――