「セツナが入社してすぐに
俺はお前に一目惚れした。
部署は違ったけど
いつも仕事に対して一生懸命で
努力している姿を見ていたから」
どうしてそんな昔話から始めるのさ。
そんな事を言いたかったの?
「だからセツナと付き合えた時は
本当に嬉しかったんだ」
「…そうですか」
アタシだって
当時は嬉しかった。
楽しかった。
確かに幸せだった…。
あの日までは。
「付き合って半年くらいして俺の海外転勤が決まった時
正直、気持ちに余裕がなかった」
覚えています。
その前からお互いピリピリし始めて
喧嘩…というか
会話がなくなって顔も合わせなくなったから。
「当時、副編集長としての仕事も多くて
新しいプロジェクトも抱えていた。
だけど海外転勤の話は
俺にとって待ち望んでいた事だったんだ」
知っています。
この仕事で海外に出て多くを学びたいって
付き合っていた頃に話してくれたから。
アタシもその夢を応援するって約束しながら…
離れたんだっけ。