それなのにこの男…
「別れていても
熱があるコを放っておく事は出来ないだろ。
お前が心配なんだ」
なんて真剣な顔して言うんだから
逆にこっちが困惑します。
それに心配って…
今そんな事思われても。
だったらもっと
“あの時”に心配してくれても良かったんじゃないのかって…
まぁなんにせよ過去は過去だ。
「微熱くらいで大騒ぎしなくても
本当に平気なので大丈夫です。
じゃぁアタシは部署に戻るので」
飲み終わったコーヒーカップを片付け
給湯室を出ようとすると―――
「待って、セツナ…」
なぜか呼び止められ
反射的に立ち止まってしまった。
イヤな予感しかしないのに…。
「なぁ、セツナ?
あの日の事、ちゃんと話を聞いてほしい」
「だからその話は――」
「避けられてるのはわかってる。
聞きたくないのも、わかる。
だけど、ちゃんと話しておきたいんだ」
アタシが拒否するのをわかっているから
そうさせないように先手を打って
言葉を遮り耳を傾けさせる。
ズルイやり方だよね。