「タクシーの中で意識を失ってくれたおかげで
運転手が青白い顔してたぞ」
おっと
申し訳ない、タクシーの運ちゃん。
もうそっからの記憶なんて皆無なんだわ。
「気分はどうなんだよ」
「あー…うん。
息苦しさだけなくなったけど…
アレはなんだったんだろうか」
「過呼吸だと」
か、過呼吸と?
…初体験だ。
「いつからあったのか知らねぇけど
熱が高いし
同調して不整脈があって
極めつけが過呼吸。
どれだけ自分を傷めつければ気が済むんだよ」
傷めつけたワケではないんだけどさ。
ちょっっとだけ無茶をしてしまっただけで…
結果的に、こうなったのだよ。
「点滴が終わって
具合がいいであれば帰宅の許可は出てる」
「もちろん帰るよ。
ってか今もう平気だから」
「熱は下がってねぇぞ」
「不整脈が落ち着いたであれば大丈夫。
熱くらいで弱ってる暇はないの」
半ば強引に言い切り
マンションに帰る事になった。
煌月はそんなアタシを
終始、納得いない様子で睨んでいたけれど
気にしない。