「七星…?」


何が起きたのか
傍にいた煌月も焦っている様子。

それもそのはず。
鉛のように重たくなった体は
自分の意思とは関係なく
力が入らないのだ。


「ゴホッ、ゴホッ」


咳き込んだと思ったら
その勢いで不整脈が始まってしまう始末。


「帰るぞ。
 立てるか?」


煌月の肩を借りながら
ゆっくり立ち上がるも
目に見えないとんでもない不安と恐怖に襲われる。


「…苦しッ」

「お、おいッ」


息がしづらく
不規則な呼吸を繰り返しながら
思わずギュッと煌月の袖を握りしめてしまった。


「お前、こんなに熱が…」


額に触れるコイツの手が
ヒンヤリと気持ち良く…って
そんな事を感じる余裕なんてなく。


「どうしてテメェは
こんな無茶すんだよッ!
クソ…今すぐ病院連れてくッ
もう少し辛抱しろよな!」


なんだか耳元で
スゴイ怒られてる気がする…
いや、気のせいであってほしい。
絶対あとで説教が来そうな予感だから。


それから―――


フラフラしながらも
え、酔っ払いじゃないからね。

タクシーに乗ったところまでは覚えてる。