「結婚とか
したのか…?」
なんでそんな事を
元カレに聞かれないといけないの。
「…していません」
そしてなぜアタシはまともに答えるッ
この人に報告したところで
もう関係ない相手なのに。
「そっか…
それなら安心した」
「…は?」
「会いたかった…
セツナ」
「え…」
ワケがわからないまま
突然、アタシはこの元カレに
抱きしめられてしまった。
すぐ隣で煌月も
他の職員も見ている
その真ん中で―――
ザワザワと大騒ぎする女性社員の
恐ろしい声が耳に入ってくるし
煌月の鋭い眼差しが痛いくらい刺さるんすけど!
「や、やめて」
思わずスッと体を離し拒んでしまった。
「…悪いけど
仕事をしに来ただけだから。
アタシに、関わんないで」
この人の考えている事も
今の行動もよくわからん。
一瞬にして目立った事への不安もあって
冷たく突き放し
アタシは逃げるようにその場をあとにしてしまった。
『仕事をしに来た』って言いながら逃げるなんて
矛盾してるし情けない…