「え、知らないんですか?
 彼が帰国したんですよ!
 “陽向アルト”さんが!」

「え…」


この人は今
なんて言った…?

アタシは自分の耳を疑った。
だって、どうしても
あり得ない…から。


女性社員の団体で
中の様子はまったく見えないけど
アタシはその人物の姿を確認する事もなく
後ずさりしてしまった。

なんとなく
彼には会いたくない。


「な?
 覚悟しろって言っただろ」

「煌月…」


いつの間にかアタシに追いついていた煌月。
コイツ、これがわかってたから言ったのか。


「アタシの反応は
 お見通しだったってワケ?」

「お約束だろ?
“元カレ”との数年ぶりの再会の反応なんて」

「ココでそれ言わないで」


こんな公衆の面前で
サラっと暴露するな。
誰も知らない話なんだよ。


こんな事態…
頭ん中が整理出来ない…。


【 陽向 アルト】-Aruto Hinata-(33歳)
編集部、元副編集長。
5年ほど前に社用で渡米。

どう説明したらいいかわからないけど
一応、アタシの“元カレ”