「タクシー呼んだから
 ヒナコ乗れ。送る」

「え~…
 今日はジンくんの家に行っちゃダメなの?」

「ダメだ。
 時間も遅いしお前も酔ってるんだから
 自分の家に帰って寝ろ」

「そんなぁ~
 泊まりたかったなぁ…」


酔った勢いで男の部屋に行こうとするとは…
何をしようと企んでいたんすか、早乙女さん。


「さってと
 アタシは会場に戻ろっかな~」


2人の時間を邪魔するなんて野暮だし
それにもはやココは戦場だ。
1秒でも早く非難しないと。


そう思って立ち上がった…が。


「…ッ」


ドクン――

突然、心臓の鼓動が早くなるのを感じ
すぐに立ち上がるのをやめた。
飲みすぎたせいで脈が速くなったか…


「七星?」

「やっぱもう少し休んでから戻るわ。
 先に2人で帰って」


『じゃ、お疲れ』と手を振ったのに。


「…七星、お前も乗れ」

「へ?」

「いいから帰るぞ」

「ちょッ」


なぜか勝手に鞄を奪われ
強制的にタクシーに乗り込んでしまった。

こんな時でも空気を読み
さすがにアタシは助手席に座ってみました。←秘書か。