まぁ、ただの言い訳に過ぎないのだけど。


『お昼食べれないのはイヤだなぁ』なんて
この期に及んで呑気な事を考えていると
途中の階でエレベーターの到着音が鳴り、扉が開いた。

と、同時に
待っていた人物と目が合って
お互い思わず、一瞬…止まった。


「煌月…」

「七星…」


良くも悪くもこのタイミングで再会したからだ。


「ひ、久しぶり…」

「…あぁ」


煌月も乗り込んで
同じく1階へと向かう短い時間…なのに
この狭い空間内には
妙な緊張感が漂っている。


最後に会話したのは
早乙女さんを託した、あの日。

2人が抱きしめ合った姿を見ながら
アタシは静かに退室し
それっきりになったんだっけ…

煌月…
なんかやつれたように見える…


「仕事、復帰したんだね」

「…あぁ。
 母親も落ち着いたからな」

「そっか…」


か、会話が続かない…。

今までこんな事なかったのに。
気まずさしかない。
こんなの…初めてだ。


「迷惑掛けて、悪かったな…七星」

「え!?」


突然、謝罪の言葉を口にした煌月に
驚いて思わずコイツに顔を向けてしまった。