「今の煌月の状況は
 確かにアタシには理解してあげられないし
 助けてもあげられない。
 だけど、早乙女さんは違う。
 誰よりもアンタの事がわかる。
 むしろ同じ状況を味わった彼女だから
 今のアンタを理解してあげられる。
 違う?」


少し強めに説得の言葉を掛けると
イヤな反応しかしなかった先程の態度とは違い
死にかけていた煌月の目に
少しだけ光が戻り始めた。


「1番、アンタの事を心配してるんだよ?
 煌月のご両親とは
 早乙女さんだって家族のように生活してたんだから
 同じくらいツライんだよ。
 それを表に出さずにアンタの事を想ってる。
 そんな彼女の気持ちは
 ちゃんとわかってあげなきゃ…」


そこまで伝えると
ようやく煌月から黒いオーラが消え
活気も戻っていた。



まったく…
世話が焼けるんだから…


「ジンくん…」


恐る恐る煌月と距離を縮めていく早乙女さん。


「ヒナコ…」


それに応えるように手を伸ばす煌月に
彼女もまた両手を広げ
泣きながら煌月を抱きしめていた。


やっとお互い
傷ついた心を癒し合える…




コレで良かったんだ―――