「ジンくんは何も悪くないッ
 彼、今すごく大変なのに
 私が無神経で何も考えてなくて
 困らせてしまった…」


そう言いながら
浮かべていた涙が溢れ出して
止まらなかった…


「アイツがご飯食べてないだろうから
 何か少しでも力になれたらなって
 それで食材持って来たんでしょ?
 それは優しさだよ」


ただこのコは
すごく不器用なだけ。
それ言ったら煌月も
女に対しては不器用か…。


「ガツンとは言わないけど
 アタシも煌月に声を掛けてみるよ」

「…はい」


今日は珍しくとても素直な早乙女さん。
そんなに今のアイツは
話が出来ない状態なのか。


元気のない彼女を連れて
一緒に部屋の前に着くと
合鍵を借りて
玄関のドアを開けた。
 ※不法侵入になるので良い大人はマネしないように。


「煌月―
 いるー?」


玄関先で大声で呼んでみたモノの
一切の返答が返ってこない。
なんなら人の気配すら感じられない。


「無視かよ、まったく…。
 勝手にお邪魔するよー」


許可はないが
ズカズカと中へと入るアタシに
早乙女さんは困惑した表情を浮かべていた。