「何かあるなら
 俺で良ければ聞くから話してな?
 もうセツナにツライ思いさせたくない…
 俺は散々、苦しませたから…」


「…大丈夫です。
 でも、ありがとうございます…」


なんでこんなときに
そんな優しい言葉を掛けるのさ…この人は。

今回の煌月の件で
陽向さんがアタシに気を使ってる。
心配…してくれているんだと思う。
自分自身だって
煌月の事で気持ち的に余裕がないはずなのに…


「あ、ごめんセツナ。
 編集長から内線入った」

「あ、うん…」


陽向さんの胸ポケットに入っている社用携帯が鳴り
宛先を確認しながら彼は席を立った。

副編集長である煌月が休みだから
この人の仕事量も多いんだろう。

彼も体調崩したりしないといいけど…
なんて考えながら
去り行く後姿を静かに見守っていた―――


その夜。

締め切り期日が近い仕事が重なったせいで
なんとかやり終え帰宅出来たのは
いつもより2~3時間遅く
時計は22時をまわっていた。


「つっかれたぁ~」


明日も朝早くから終わってない仕事を片付けると思うと
気が滅入るな。