「俺に何が出来たのか…
 どうすれば良かったのか
 考えても全ッ然わかんねぇんだ…」


固く握りしめる拳と
思い悩んだ様子で俯く煌月に
アタシは掛ける言葉が見つからなかった。

すぐ隣にいるのに
何もしてやれない…

ごめん…煌月…


「七星さん」


突然呼ばれた声に
アタシは驚きながらも声の先に視線を移すと
そこにいたのは…


「早乙女…さん」


いつの間にか
彼女はココに戻っていた。

眉間にシワを寄せ
誰が見ても明らかなほど不機嫌な顔で
アタシを睨みながら。


「何してるんですか」


しかも悪意に満ちた低いトーンで
追い打ちまで掛けてくる。


「え…っと…」


どうするかな…
どんな言い訳をしても
アタシがココにいるのは
彼女にとってみたら不自然そのものだ。
受け入れるワケがない。


「七星さん。
 ちょっといいです?」


同じトーンで
早乙女さんはアタシを呼び出した。

洗礼を受けるに違いない。


彼女について行く形で下の階に降りると。


「言ったはず。
『ジンくんを独りにして』って。
 どうしてわからないの?」


さっそく怒られた。