やっぱりそうだったんだ…

早乙女さんを見掛けたとき
陽向さんの言葉を思い出した。


『母親が意識不明の重体なんだ―――』


だからきっと
この病院に入院しているんだって。
それも
アタシがいた
“集中治療室”に…。


「こっち座れば?」

「え…いいの?」

「なんだよ…そんな反応。
 お前らしくねぇじゃん」


いや、そうかもしれないけど。
この前アンタがアタシを拒否したんだろうが。
近付きづらいわ。


…でもまぁ
あのときは仕方なかったか。
アタシの軽率な発言がいけなかったんだし。
それに今日は
あのときよりも少し穏やかな物言いだ。


静寂に包まれる誰もいないロビーに
そこにいるアタシと煌月。

こういう場所なのか
空気さえも冷たく感じる。

隣に座るコイツの表情も
完全に目が死んでいて
さっきだってヘラっと笑った顔が元気がなく見えて
今にも倒れそうなくらい
まるで生気がない…

疲れているのか痩せたのか
どう見てもやつれてる。


こんな状況になって当たり前なのはわかってる。

けれど…
見た事がない。
こんな煌月の姿―――