その日の昼休み。
煌月に声を掛けようと思い
食堂に行く前に編集部に立ち寄った。


アイツは
何か変わった様子もなく普段通りに在席しているから
アタシもいつもの調子で声を掛けたんだ。


「煌月ー
 アンタやっと仕事に来た。
 何回も連絡したのに既読にならないし
 意外と心配―ー」

「悪い、七星。
 今は放っておいてくれ」

「…え?」


いつも通り…じゃない―――

言い終わる前に遮られ
コイツの口からは
冷たく突き放す言葉…

初めて煌月に
拒絶されてしまった―――


どういう…事?


思いも寄らない反応に
瞬きを忘れ
全身が硬直したように動けない。


「どう…して…」

「…。」


それでもなんとか必死に声を出したが
煌月は無言で立ち上がると
スッとアタシの横を通り過ぎ
出て行ってしまった。


こんな事
初めてだ…

アタシ何かしてしまったの…?


「空気読んでよ」


追い打ちを掛けるように
早乙女さんからの冷たい言葉が突き刺さる。


「ジンくん
 今すごく大変なの。
 独りにさせてあげて」


だからどうしてアナタが知っているの…?