「引っ越し?
 誰かするのか…?」

「え、それはアタ…」


『それはアタシ』と言い掛けて
今まで引っ越す事への戸惑いがなんなのか
ようやくわかった…

心の中で絡み合い引っ掛かっていた糸が
やっと解けたような…


「七星…?」


こうやって言葉にする事が
こんなにも自分自身に大きな影響を与えるとは
考えてもみなかった…


「アタシが…引っ越すんだよ」


だけどどうせバレる事だし
言わないといけないんだって
自身と葛藤しながらも
告白してしまったんだ、本人に。


「なんだよ…どういう事なんだ?」


煌月は目を見開いて
こっちが視線を外せないくらい
強い目力で見つめてくる。

そんな顔しないで
アンタには本当の事なんて言えるワケないでしょ…


「ちょっとね
 諸事情があって…
 だから早めにココを…」


あー…ダメだ
なぜなのか言葉が詰まる。


「んな話、聞いてねぇぞ!?
 いつどうしてそうなったんだよ!」


そんなにムキになるなよ…
言えるワケ、ないじゃん…