居酒屋の店主に心配されるほど
どうやらかなりのモノらしい。


「さすがに店側も止めたんだけど
 荒れてるみたいで言う事聞かなくてねぇ。
 こんな時間だろ?
 若い女性が独りってのは危ないと思ってな」


おぉ…なんとも優しいオッチャン店員だ。
アタシを心配してくれんだな
さんきゅーな!


とか呑気に思ってる場合でもなく。
隣じゃギロリと鋭く光る睨みが突き刺さる。
無言の威圧だ…


「家、近いんで送っていきます」


『はぁ…』と小さく溜め息を吐き
財布から1万円を取り出しオッチャンに手渡した。

あら、奢ってくれるなんて悪いね。


「ほら行くぞ。
 立てるか?」

「んー…余裕…」


と答えてみたモノの
まったく足に力が入らず。
とことん酔っ払ったんだなぁ…。


「ったく…仕方ねぇ」


クルっと
アタシが座る椅子ごと煌月の方に向かせると
少し中腰状態になりこちらに背中を向け
『乗れ』って言ってきた。


コレって…アレっすよね。


「まさかアンタがおんぶしてくれんの?」


うわ、ベタな恋愛漫画にあるようなシチュエーション。