「ないないない。
 おかしいって。
 絶対おかしいって。
 疲れてんだよ、頭が。
 うん、絶対そうだって」


もう何が何やらパニック。

しかもまたどこかで早乙女さんが聞いてんじゃないかって思ったら
店内キョロキョロしまくった。
ウッカリ失言は命取り。


寂しいったって
ほら、隣人付き合いが長いから
あのウルサイ感じがなくなったら
そりゃぁつまらんでしょうが。
そういう意味合いであって
恋愛云々とか関係ない。


「女子みたいな事考えてないで
 飲も飲も」


雑念を払うように
グビグビと飲酒に集中。

時計はもう
22:00をまわっていた―――



「…飲み過ぎた」


グラスには
まだ半分も酒が残っているけれど
もう飲めない…
久しぶりに視界がグラグラするくらい飲んだな。
これぞ正しく“ヤケ酒”
明日の二日酔いが頭に浮かぶぜ。


「…七星か?」


どっからかアタシを呼ぶ声が聞こえ
フワフワしてる世界を見まわし
二重に見えるはスーツ姿の煌月。


「よぉ!煌月じゃん!」


視点は定まってないけれど
コイツだって事はかろうじてわかる。