アタシが悩み考えてる間に
煌月もまた
動き始めていた―――



「今日の夕飯は
 いつも以上に愛情込めて作ったんだよぉ」


早乙女さんはまるでメイドのような
ヒラヒラのピンクのエプロンをして
サラダやらスープやらをテーブルに並べ
最後は大きなオムライスに
ケチャップで“ハート”なんて書いて
メイド感たっぷりにご奉仕している中
当の煌月はと言うと。


「それはどーも」


リビングのソファで煙草を吸い
グッタリしながら溜め息交じりの呆れ声。
凄まじい温度差だ。


「ジン君、明日から仕事復帰でしょ~?」


鼻歌を口ずさみつつ
飲み物の準備を始めるメイドを横目に


「ヒナコさー
 会社で何してくれたの」


何の前触れもなく
あまりに普通に聞くモンだから
一瞬驚いた早乙女さんは
思わず手を止めてしまった。


「俺にバレてないとでも?」


ボーッと煙草を吸っていたかと思うと
思考が停止している彼女の方を向き
追い打ちを掛け出す。


「何やったか
 だいたいはわかってんだよ」


なんともえげつない取り調べ方だ。