「煌月…
 熱は下がったのかな…」


コーヒー飲みながら
ついそんな事を考えてしまう。

カフェインを大量摂取してる場合じゃないんだよ。
ココのところほとんど食事が摂れてなくて
気分も身体も絶不調なんだよ本当に。

ストレスで食欲がない日々が続くなんて
このアタシにそんな事があり得るとは
案外女子なんじゃない?


煌月とはあの電話っきりで
まだ謹慎中だから会ってなくって
ってか、会えるワケないか。

“接近禁止令発動中”なんですから。


「急に引っ越しって言っても
簡単じゃないんだよねぇ…」


立ち寄った本屋で購入した賃貸物件雑誌を
仕事の合間に広げては
1人であーでもないこーでもないと
雑誌に向かってブツブツ。


早めに新居を見つけて出て行かないとって
わかってはいるんだけども
現実的に考えると大変な事が多いんだよね。
選り好みしてる余裕もないんだけど
なかなか条件が良いところもないし。


「あ…そうだ。
 今日は通院日だったの忘れてた」


卓上カレンダーを見て
“病院”と書いてある自分のメモにハッとした。