だけどそんな事くらいで
負けを認める彼女なはずがない。


「さぁ?
 忘れ物を取りに行ったとかで
 偶然だったのではないですかぁ?」


あくまで自分には関係ないと主張。


「偶然ねぇ。
 それもあんな時間に?
 じゃぁその偶然そこに居合わせて
 たまたま2人が一緒にいるのを目撃して
 ピンポイントで怪しげな雰囲気だけを
 写真に撮ったワケかぁ。
 なるほどね」


言い方が厭らしいぞ陽向アルト。


「仮に犯人が私だとして
 陽向さんは私にどうして欲しいんです?」

「キミが何をしようが勝手だよ。
 正直俺には関係ないからね。
 だけど。
 セツナを苦しめるような事は許さない」


彼の口調は優しいが
真剣な表情で
その目は敵意を含んでいた。


しかし彼女は
そんな彼の表情に怖気づく事もなく
むしろ嘲笑うかのように
クスっと口角を上げて答えた。


「そんなに怒るなんて意外ですね。
 守ってあげたくなるくらい
 七星さんの事が好きなんですか。
 でも…
 陽向さんが怒る相手は
 私じゃないでしょう?
 あの写真は紛れもない真実なんですから
 何をしていたのか疑ったほうがいいのでは?
 気にならないんです?」


それもダブル攻撃だ。