早乙女さんの言っていたように
上からの罰はなかったけど
まわりからの風当たりは強く
彼女の思惑通り
順調に事が進んでいった――


『早乙女さんと付き合ってた副編集長を
 寝取ったらしいよ』

『それひどすぎでしょ。
 早乙女さん可哀想じゃない?』


同じ部署やら廊下やら
各所から聞こえてくる女子社員の悪魔の囁き。

根も葉もない噂を気にするほど子供ではないけれど
誰が寝取っただ。
どうしてアタシがアイツとそういう関係になんの。

そもそもあの2人
付き合ってるって噂になってたのか。
もしかしてアタシが知らないだけで
マジでそうなの?


『そう言えば噂で聞いたんだけど
 七星さんって意外と男好きなんだって』

『聞いた聞いた。
 しかもかなり腹黒なんだって~』


噂がうわさを呼び
悪い情報はたちまち流れ
話が膨れ上がっている。


こうなる事は予想されていたけれど…


「この仕事、お願い出来る?」


って、依頼しても


「え…ちょっと忙しいから無理です…」


と、イヤそうな反応が返ってくる始末。


どうにもやりづらい…。