「七星さんの本性を知っちゃった。
 私が彼を好きなの知ってるくせに
 同期で隣に住んでるって理由を上手く使って
 自然を装いながら近付く魔性の女」


次から次へと
彼女の口からとは思えないほどの
辛辣な言葉が出てくる。


「手料理にケーキまで用意して
 深夜に2人きりだからって
 どさくさに紛れてキスまでしようとする汚い女」


否が応でも耳に入ってくる。

だけどどの言葉も
言ってる事は何も間違ってない。

彼女の言う通り
確かにアタシがした事は魔性と言わざるを得ない。
早乙女さんが煌月を好きなのはよく知ってんのに
コレじゃ裏切り行為だ。


「二度とジン君に近付かないで。
 会わないで。
 目の前から消えて。
 そしてせいぜいドン底を味わいな」


最後に捨て台詞だけ吐き
バタンと扉を閉め鍵を掛ける音がした。


自分で仕出かしてしまった今回の事と
早乙女さんの言葉の重みに
アタシはその場から一歩も動く事が出来ずにいた。

上昇を続ける心拍数。
だけど今1番苦しんでいるのは早乙女さんだ。
アタシが弱ってる場合じゃない―――