仕方なく渋々缶ビールを諦め
食べようとしていた夕飯はタッパーに入れた。


「アイツへの差し入れは
 アタシが食べるはずだった夕飯でいいや。
 お腹空いていればなんでも美味しいっしょ」


味の保証は出来ないけど毒は入ってないし
まぁまぁ食べられない味じゃないはず。

風邪薬と頭痛薬を持って
あとはコンビニ寄ってスポーツ飲料水とお茶と…
ショートケーキでも買ってくか。
アタシってなんて優しいんだ。


そうこうしているうちに
煌月の待つ会社に到着した頃には
20時をまわっていた―――


煌月は自分のデスクでパソコン作業しながら
アタシに気付くとすぐにガン飛ばして一言。


「遅い」


言うと思ったわ。


「悪かったね。
 急な呼び出しに対応するのも大変なんす。
 はい、コレ」


持ってきた差し入れと呼ばれる夕飯料理と
飲料水達が入っているコンビニ袋を手渡した。


「へぇ、俺のために手料理を用意するなんて
 意外とお前も女らしいところがあるんだな」

「そんなワケがない。
妄想しないでくれるかな」


元々は自分で食べるつもりしかなかったわ。