「早乙女さんから誘われなかったの?」

『は?何を誘われるんだよ』


なんなんだコイツは。
疎いにも程があるぞ。
普通、誕生日に誘われるって言えばわかるでしょうが。


「“誕生日を一緒に過ごしたい”って
誘われなかったのかって事」


と、ちゃんとわかるように言ってみたモノの
案外本人は冷静で。


『あー…
 そういやなんか言われたなー』


・・・は?
何その反応。
こっちがビックリしたわ。


「言われたって…
 言われたの!?」

『うるせーな。
 “今日は特別だから”とかなんとか言ってただけだ』

「それでなんて言ったの!?」

『特別も何も
 悪いけど俺は仕事だから会ってる暇はない』


最低だ。
この男
まったくもって女心を理解しちゃいない。
どうしてそんなヒドイ言葉を言えるんだろうか。


「今すぐ電話して謝れバカ野郎!!」


思わず電話口で怒鳴ってみたけれど。


『デカい声出すな…
 それでなくてもこっちは頭が痛ぇんだから…』


…あれ。
妙に力ない声だ。
え、もしかして…


「どうしたの。
 風邪でも引いた?」