「仲がいいって言われても
 ただの同期ですから」


一緒に入社した仲間なんだから
それなりに話もするし飲みにも行くし。
とは言え
さすがに隣に住んでるってのは
そんな偶然はあまりないけどさ。


「女子社員達が
 煌月と早乙女さんが付き合ってるって言ってたから…」

「…へぇ。
 アナタは女子社員達とそんな話もするんですね。
モテモテじゃないですか」


確かに昔からアナタはモテていましたね。
だから付き合ってる事は隠していたんだけど。
日本に帰国した日も囲まれてた。
アナタはいつだって
命名“モテ王子”なんでしょう。


「俺はセツナにだけモテればそれでいい!」


あ、モテる事は否定しないんだ。


「とにかくアタシには
 2人の関係性にも色恋話にも興味はないし
 口を挟むつもりないので」


そう言いながら
テーブルの上に広げていた仕事の資料を鞄に入れて片付けると
財布から5千円を取り出してテーブルに置いた。


「この後まだ予定があるので
アタシは帰ります。
お代、置いておきますね」


と一言だけ捨て台詞も置いて。