どうしよう。

どうしたらいいの。

心臓がバクバクと嫌な音を立てる。

そのとき、タイミングよく朝のHRの始まりを告げるチャイムが教室中に鳴り響いた。

「いこっ」

わたしの周りを取り囲んでいたクラスメイト達が慌てて席に戻っていく。

「――結衣、どうした?」

席に戻ってきた藤原くんが心配そうにわたしの顔を覗き込む。

藤原くんの目を見れない。

鏡を見なくてもわかるぐらい、わたしの顔には動揺した今の気持ちがはっきりと表れているだろう。

ごめん、藤原くん。

わたしは心の中で一度謝ると、席を立った。

遠くへ行きたい。

遠くへ逃げてしまいたい。

消えたい。もう消えてしまいたい。

その一心でわたしは教室を飛び出した。

遠くへ逃げたかったわたしの行きついた先は校舎の一階にある保健室だった。

無断で早退ができるほどわたしに勇気はない。