わたしはあの日から藤原くんに変な感情を抱いてしまっている。

その感情の正体を知るのが今は少しだけ怖い。

【おはよう】

メモ帳に書いてもう一度小さく頭を下げる。

藤原くんはニッと笑ってポンポンっとわたしの頭を叩くと、バッグを席に置き何事もなかったかのように友達の席に向かった。

とたん周りの女子が今の見た?奏多くん、頭ポンポンしたよね?と騒ぎ出す。

居心地が悪くなってうつむくと同時に数人のクラスメイトがわたしの席にやってきた。

「ねぇ、小松さん」

声にとげを感じる。

いい話ではない。身構えながら声の方に視線を向ける。

「小松さんって本当に一言もしゃべれないの?」

ああ、そういう話か。

「ていうかさ、どうして奏多くんと仲いいの?」

「去年って違うクラスだったのにおかしくない?」

「小松さんってば、うちらの話聞いてるの?」

なんと答えたらいいのかわからずにいるわたしの答えを待つことなく次々と発せられる質問。

胃の奥がムカムカしてきてめまいがしてくる。

中学時代がフラッシュバッグしてくる。