【どうしてわたしなんかと】
「うん」
【一緒にいてくれるの?】
どうして優しい言葉をかけてくれるの?
わたしの欲しい言葉をくれるの?
一言もしゃべらず、いつもうつむき、学校では笑顔なんて見せない。
友達だって一人もいない。
そもそも、今の状況がおかしい。
たまたま席が前後だったというだけのわたしとどうして藤原くんは一緒にいてくれたんだろう。
藤原くんはモテるし、わたしなんかに下心を持っているとはとても考えずらい。
友達だって男女問わずたくさんいるし、わたしと一緒に過ごす理由なんてない。
ましてや一緒にいたってまともに会話もできない。
筆談でのやりとりだってめんどうなはず。
「いやいや、私なんか、じゃなくて、私だから一緒にいたいんだし」
頭の中で藤原くんの言葉を反復してみる。
グルグルと言葉は頭の中をめぐるのにいまいち意味を理解できずにいる。
藤原くんはわたしの反応を見て困ったように天を仰ぐ。
「――だからね、俺は結衣と一緒にいたいと思ったから一緒にいるだけ。それはダメなこと?」
いつも余裕そうな藤原くんの声色がほんの少しだけ変わった。