『前はしゃべってたじゃん。それなのに、今じゃ全然しゃべんないし。ニコニコ笑って相槌うたれんのなんかウザいんだけど』

『わかる!しかもさ、あの子だけ特別扱いされてるよね。音読も発表もなーんにもしなくていいなんてズルくない?』

口の中がカラカラに乾いた。

視界が狭まり、目の前が真っ暗になり、喉がきゅっと詰まり苦しくなった。

これ以上聞いていられない。

フラフラとした足取りで下駄箱に向かって靴に履き替えて学校を後にする。

それから先、どうやって家までたどり着いたのかよく覚えていない。

気が付くと、ベッドの上にうつぶせになってボロボロと涙を流していた。

一生懸命になって笑顔を作ろうとしたわたしの努力は周りの子達にとってただウザいだけでしかなかったなんて。

その日を境にわたしは無理して笑顔をつくることはしなくなった。

できる限り人と距離を置き、教室の中では目立たないように空気の様に過ごす。

透明人間みたいになる。

それだけが自分を守れる術だった。