藤原くんはそんなわたしの姿を黙って見つめていた。

ごめん、藤原くん。わたし、やっぱりありがとうと伝えられない。

手の力が抜けていく。まただめだった。

自分自身にがっかりする。

わたしはやっぱり出来損ないだ。

ありがとうとお礼を言うことすらできないなんて。

斜め45度に視線を落とすと、

「どういたしまして」

低くかすれた声で藤原くんは確かにそう言った。

弾かれたように顔を持ち上げる。

目の前にいる藤原くんはいつものように笑っていた。

太陽のように。

ううん、それ以上に眩しいほどの笑顔を浮かべて。

口に出してもいないし、メモ帳にも書いてない。

それでも伝わった。

わたしの気持ちが藤原くんに。

急に感情が込み上げてきた。だめだ。なんだか泣けてくる。