【メモとペン】

「うん」

【ありがとう】

「どういたしまして」

二人の間にふわりとやわらかな風が吹く。

わたしと藤原くんはそろって桜の木を見上げた。

不思議だな。どうしてこんなに心が落ち着くんだろう。

藤原くんと一緒にいるとき、わたしは自然体でいられる。

人の顔色を伺うことも、斜め45度に視線を落とすことも、スカートを握り締めることもしなくていい。

無理に会話をしなくてもいい。それを求めてこない藤原くん。

わたしはありのままの自分でいられる。

それはきっと藤原くんのおかげ。

彼はきっといい意味で型にはまっていないすごく自由な人だから。

しばらくしてから藤原くんは大きく背伸びをすると「よし、行くか」と唐突に言い放った。


藤原くんに誘われるがまま緑ヶ丘公園から徒歩で片道約20分の場所にあるコンビニにやってきた。

「何買う?」

【藤原くんは?】

「飲み物とお菓子」

【私も】

店内で筆談で藤原くんと会話していると、近くにいる女子高生が藤原くんの姿に目を止めた。