私の世界を変えてくれた君へ。
第二章

ペンとメモ帳

また、今日が始まった。

寝ぼけ眼で学校へ行く準備をして玄関を開ける。

「いってらっしゃい」

母の声に背中を押され、家を出る。

いつものように真向いの柴犬がワンワンっと吠える。

「おはよう。今日も元気だね」

声をかけて歩き出す。曲がり角まで行って振り返り、母に手を振る。

「いってきます」

毎朝のルーティーン。角を曲がるとわたしは再び声が出せなくなった。

学校へ向かう途中、あと少しで学校に着くというところで突然後ろからポンッと肩を叩かれた。

登校中に声をかけてくる人はいない。

予想外の出来事に驚いて振り返ると、そこには息を切らした川崎さんが立っていた。

「小松さん、おはよう。ごめんね、驚かせちゃった?」

川崎さんの言葉におはようございます、と返す代わりに小さく頭を下げると、勘違いした川崎さんはパチンっと顔の前で両手を合わせた。

「だよね。急に肩叩かれたらビックリしちゃうね」

あ、違う。勘違いさせてる。

わたしは慌てて首を横に振る。違うんです。そうじゃない。

それを言葉に出して伝えられれば早いのにわたしにはそうすることができない。

困って口を開けたり閉じたりするわたしに川崎さんが微笑む。

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