「なんか誤解してるみたいだけど、クラスメイトだよ」

「クラスメイトの男の子が家まで結衣のことを送ってくれたの?」

「送ってくれたっていうか……」

考えてみても、送ってくれたとしか思えない。

「うん。でも、こうなったのには訳があって」

「どんなわけ?」

「わたしと、藤原くん……、あっ、今日送ってくれた男の子ね」

「うん」

「藤原くんと図書委員になって、放課後集まりがあったの。それで色々あって送ってもらった……感じ?」

「あら、そう。クラスメイトねぇ」

「その反応なに?」

いぶかしげな反応の母に首を傾げると、

「クラスメイトなのに、下の名前で呼ぶの?結衣、って」

母がぽつりとそう漏らした。

「ぶっ!!ゴホッゴホッ!!」

父は口に含んだビールを吹き出しそうな勢いでせき込み、顔を真っ赤にする。

「べ、別にそういうんじゃないの!藤原くんは誰に対してもフレンドリーだし、わたしだけが特別ってわけじゃないよ」

慌てて否定すると、母は「そうなの?」と露骨に残念そうな表情を浮かべる。

「ねぇ、藤原くんってどんな男の子なの?」

「藤原くんはねぇ、不思議な人。いい意味でちょっと変わってる」

「そうなの?」

「うん」

だって、こんなわたしに声をかけて一緒に図書委員をやろうって言ってくれる物好きな人だもん。

何を考えているのかいまいちわからないし、つかみどころがない。

それに。