唇を噛んでそれに耐えていると、彼は「おっ、上出来!」と嬉しそうに笑った。
「これ、何だと思う?」
自分の右の手のひらをジッと凝視する。
そこには犬ともクマとも猫とも鳥ともなんとも言い難い恐竜のような不思議な絵が描かれていた。
これは、いったいなに?わたしの知らないキャラクター?
頭の中に複数浮かぶクエッションマーク。
「まっ、答える必要もないか」
答えたくても答えようがない。それが何か、わたしにはさっぱりわからない。
でも、なぜか藤原くんは誤解している。
「これ、猫。ほら、今って猫ブームじゃん?だから、図書館だよりのキャラクターは猫でいいと思うんだけど」
ああ、ねこ、か。猫。猫……?猫……!猫……!?
自分の手のひらに視線を移して猫の姿を探す。
でも、描かれている絵に猫の姿はどこにもない。
手のひらと藤原くんの顔を交互に見つめる。
う、嘘だよね?
藤原くん……、本気なの?でも、ふざけている様子はみじんも感じられない。
ま、まさか。