委員長にふと視線を向ける。

あれ……?先ほどより若干淀みのある口調で話す委員長の手元のプリントが小刻みに上下する。

わたしはスカートをギュッと右手で握り締めてまっすぐ前を向いた。

こういう時、昔から何故かいち早く相手の心情や状況に気付くタイプだった。

そんな自分に気付いたのは、小学校低学年の頃。

周りの子に話しても「えっ?そうだった?全然気付かなかった」「考えすぎだよ」と言われてしまうことが多い。

相手の状況や雰囲気を敏感に感じ取ってしまうわたしは、先読みをするクセがつき、相手が望む一歩先のことを言ったり、行動したりしてしまうようになった。

それは、中二の夏に友達に裏切られて場面緘黙症を患ってからさらにひどくなった。

いつもビクビクと落ち着かない気持ちになり、相手の顔色を伺い、機嫌を損ねてしまったのではないかと気になって仕方がなくなる。

友達が離れていったようにまたわたしのそばから誰かが離れていってしまうかもしれないという恐怖は日に日に膨らんでいく。

だから、ずっとひとりでいた。ひとりでいれば、誰かに傷付けられることも裏切られることも悪口を言われることもない。

ひとりでいるのは自分を守るための苦肉の策。