私の世界を変えてくれた君へ。
第一章

猫のイラスト

「図書委員の仕事は毎日の本の貸し出しや点検が主になります。それから資料の整理や蔵書の管理。それから――」

全学年の図書委員が図書室に集められ、3年生の委員長の川崎さんが仕事内容などの説明を行う。

黒縁の眼鏡をかけた川崎さん。真面目そうだけど、芯が強そうなタイプだ。

わたしはボールペンで事前に配られた資料にメモをとりながら話を聞いた。

みんなの前に立ち、プリント片手に悠然とした立ち振る舞いを見せる委員長の姿が眩しい。

わたしがあの場に立った場面を容易に想像できる。

心臓が喉から出そうなぐらい緊張して、プリントを持つ手をブルブルと震わせて、顔中の筋肉という筋肉を引きつらせて、顔を真っ赤にして何も言葉にできないだろう。

彼女のようだったらわたしの人生はもっと違うものになっていたんだろうか。

周りには大勢の友達がいて、彼氏もできて、満ち足りた学校生活を送れる。

人の目を気にせずに、自分の意見をはっきり口にして、わが道を進む。

わたしと彼女の差はきっと一生埋められないだろう。

だってわたしは声が出せない。今できることはただ黙って彼女の言葉をしっかりと聞くこと。

「えー、次のページを開いてください」

事前に配られた資料を言われたとおりにめくる。

そのとき、ふと気付いた。周りのほとんどの人が資料ではなくスマホに視線を落としていることに。

窓から差し込む暖かな太陽の光に照らされて気持ちよさそうに船をこいでいる人もいる。

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