驚いて見開いた目に、浮かび上がったわたしの手の甲がスローモーションで映し出される。

一瞬の出来事だったように思う。

彼は突然わたしの手からパッと自分の手を離した。

引っ張り上げられると思っていた反動と彼に手を離された衝撃でわたしの腕は伸び、天井高く手のひらを掲げていた。

あまりの驚きにぽかんっと口を開けたまま視線を前方に向けると、教壇に立つ学級委員長と目があった。

「おー、結衣もやりたいのか。これで二人だから、決まりだな」

藤原くんの楽し気な声が鼓膜を震わせる。

ま、待って。わたし、今、手を挙げてる?

ジリジリとした焦りを滲ませるわたしに学級委員長は目を丸くしている。